『ねこねこ日本史』
作者

そにし けんじ
先生の
<楽しい日本史>

天武天皇と持統天皇を
モデルにした
アニメ作品
『ねこねこ日本史
in Nara 〜ラブラブ夫婦で
国づくり編』

完成しました。

歴史上の人物って名前が分かりにくかったり、家族関係が複雑だったり……。
でも、現代にも通じることはあるはずです。例えば、ねこ目線で見るとまた違った歴史や人物の側面が見えてくるかもしれません。
作者のそにしけんじ先生に、制作の裏側と歴史の魅力について聞きました。

Q.『ねこねこ日本史』は歴史上の人物が、ほとんどねこで表現されています。どうしてねこにしようと思ったのですか? また、歴史物をねこで描く上で気をつけていることはありますか?

もともと日本史が好きなんです。そこで、好きな「歴史」と描くのが得意な「ねこ」を組み合わせると、まったく新しい作品ができるんじゃないかと思いました。歴史上の人物を全部ねこにすると思いついたときには、ニヤニヤしましたね。
史実に合わせるというルールを守りつつ、いかにねこに絡めていくか、毎回楽しみながら考えています。

日本史には、同じ日本で起きていることなのに、びっくりするような出来事がある。いろんな事件や変わった人物、面白い名前の人物がたくさん出てきます。歴史上の人物にはそれぞれ事情がある点が面白いと思います。

Q.キャラクターはどのように考えていくのですか? 
また、今回の『ねこねこ日本史 in Nara 〜ラブラブ夫婦で国づくり編』では、天武天皇と持統天皇が登場します。天武天皇、持統天皇には、どんな印象をお持ちでしょうか?

資料をいくつも読みながら、そのキャラクター像を作り上げていきます。歴史上の人物に対する私の第一印象みたいなものはあるけれど、新たな資料によって学生の時に学んだことが変わっていて、人物の印象が変わることもあります。

天武天皇は兄・天智天皇のやろうとしたことを頑張って引き継いで、実務的なことをやる。地味というか、心優しい弟のイメージが強いですね。持統天皇に支えられている部分もありますし……。

一方、持統天皇は、学校の授業で知った時からすごく好きで、人間くさいところに魅力を感じます。自分の夫である天武天皇をとても大切にしたり、自分の子どもや孫を露骨に次期天皇にしようとしたりと、建前ではなく本音で生きている。そういうところがすごく魅力的。大きな仕事をたくさん成し遂げて、すごい女性だと思います。
多くの人に二人を知ってほしいと思い、あのようなキャラクターにしました。

作品に登場する天武天皇(左)と持統天皇

Q.天武天皇・持統天皇は、飛鳥時代が舞台です。そにし先生は現在北海道在住ですが、奈良にお越しになったことはありますか?

実は小・中学校は奈良の学校に通っていました。今も年に1、2回は訪れています。子どものころは、遠足で奈良公園にも行きました。鹿が友達のお弁当を奪っているところを見たり、古墳の近くで遊んだりもしました。
今年の1月に富雄丸山古墳から銅鏡と鉄剣が出土して、「国宝級の大発見」って大きく報道されてびっくりしました。

Q.天武天皇・持統天皇の時代、飛鳥時代はいどういう時代だったと思われますか?

日本がまだ純粋な時代。海外から様々な文化を吸収しようとしつつも、まだ完成していない、オリジナルなことに富んでいた時代。日本をなんとか一流の国にしようと頑張っていた最初の時代だったと思います。

Q.『ねこねこ日本史 in Nara 〜ラブラブ夫婦で国づくり編』をご覧いただいた方に、メッセージをお願いします。

大阪から奈良に入ると急に風景が変わり、帰ってきたなぁといつも思うんです。奈良は、歴史的なものが残っていて、なんでもないところに古い寺があったり、いろんなところに古墳があったりする。歴史が好きな人にとって、奈良はすごく魅力的な場所です。
千年以上前の建物もあって、昔の人が書いた落書きが残っていたりします。その時代に生きていた人の息づかいを感じ、現代の私たちとあまり変わらないんじゃないかと想像すると面白い。
日本史は、日本で実際に起きたことを取り上げた学問。歴史に興味を持ったら実際にその場所を訪れてほしいですね。